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コラム:DX推進はITスキルのみにて成らず(1月10日)

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 『DX推進はITスキルのみにて成らず』

遅ればせながら、明けましておめでとうございます。
昨年は、大変お世話になり、どうもありがとうございます。

2024年は辰年ということもあり、天に昇るごとく大躍進していきたいと思っている方々が多いかと思います。

よく言われることですが、「業務改善で得られる効果は効率性や収益を数割程度向上させることだが、10倍・20倍に向上させるにはイノベーションが必要である。」とのことを考えると、大きくジャンプアップするにはイノベーションが必要ということかと思います。

そして、気候変動の影響により年々増加する豪雨や大雪等の自然災害、グローバルに絡み合う問題の複雑化等を踏まえると、今年もVUCAが加速する年になると思われます。

そんな中でも企業として勝ち残るために付加価値をあげていくことが重要というのは当たり前のことですが、そのためのやり方は各企業によって異なるでしょう。
ただ、大概の企業でも有効利用できるものはいくつかあると感じています。

DX(DX自体がイノベーションの一種ですから)推進もその一つかと思います。
では、そのDX推進を実施する際に有効なスキルはどんなものがあるでしょうか。

色々とあると思いますが、一番とっかかりという意味では「利用者の要求の把握」とか解決すべき「問題の発見」とかがあるかと思います。その段階で役立つスキルのひとつとして、デザインシンキングがあります。

欧米ではごく当たり前のスキルとなっており、欧米ではその先に進んでいるところもありますが、日本ではまだまだ使いこなしていないように感じます。
それでも、経済産業省や内閣府からもDX推進に利用すべきスキルとして推奨されていることもあり、ネット上でも官公庁も含めて様々な国内事例を良く見かけるようになりましたので、良くご存知の方も多いかと思いますが、更なる普及が必要と思いますので、あえて、ごく簡単にデジタルシンキングについてご紹介いたしたく思います。

今まで世の中に存在していなかった価値を提供するということは、その価値で便益を受ける利用者がいるということであり、その利用者のことをよく知らなければ、利用者の喜ぶ価値を提供することはできません。

デザインシンキングは、利用者の考えていること・悩み・要求を深く探究することにより解決策を利用者との協業で見出していこうという考え方です。常に利用者中心であり、利用者との共創であることが特徴です。もう一つの特徴はデザインシンキングの進め方は一方通行(線形)ではなく後戻りもしながら行ったり来たりの非線形プロセスであることです。

デザインシンキングは本家のスタンフォード大学で5つのステップを提唱しており、

(1)共感、(2)定義、(3)アイディア、(4)プロトタイプ、(5)テストがあります。

(1)から(5)までを順番に行う訳ではなく、行ったり来たりを繰り返し最終的な解を得て企画作成します。

デザインシンキング型のイノベーション開発では、アイディアからプロトタイプを作成し、それをテストし洗練させるというプロセスを素早く繰り返しますが、企画を出せば終わりではありません。重要なことは、企画を出すだけでなく、それを実際にソリューション/サービスにするための行動にまでつなげていくことです。

それと、日常的にデザインシンキングの考え方を応用できるまでに腹落ちさせることにより真のスキル修得状態となります。

更にその先のプロセスとして、企画を実行に移して、実行結果を基にした利用者からのフィードバックを得て改善を実行していく探求型の取組も重要になります。

デザインシンキングを実行するためには、始める前に対象範囲を決めて、利用者を特定します。

範囲が決まれば、(1)共感のステップを開始します。利用者と思われる人々の情報を集めて、(通常はインタビューをしますが、私は経験上ビッグデータ解析がかなりの部分を代替してくれると実感しています。)利用者の真の要求を究明していきます。このステップでの肝は真の要求の把握です。表層上の要求を得ても意味がありません。例えば、利用者が「速く走る車が欲しい」と発言しても短時間で目的地まで移動したいのか、あるいは、速く走る車でのドライブを楽しみたいのかで提供するべきものが違ってきます。

(2)定義のステップでは、共感ステップから得た情報をどのようなニーズがあるかという視点でまとめ上げ、そこから課題を定義(明確化)していきます。この作業で良く利用される穴埋め定義フォーマットとして、

(「ユーザー」 は「 ユーザー の ニーズ」 を実現したがっている、なぜなら「我々が想像していなかった真の要求達成」のためだ。:鍵括弧内を穴埋めします)等があります。

次の(3)アイディアのステップでは、ブレスト等で問題を解決するためのアイディアを考えます。私はKJ法等をよく利用します。ブレストでは、ファシリテータを決めますが、ファシリテータとは、知見者として正解を教えたり、リーダーとして何かを決めたりするのではなく、参加者が自分の アイディアを自由に言えるような、会話の場を活性化するための役割です。

(4)プロトタイプのステップではペーパープロトのような簡単なプロトタイプを作成します。アイディアの内容が理解できるような資料でも良いです。プロトタイプの目的はアイディアの検証ですので、アイディアの検証ができれば良いのです。

(5)テストのステップでは、利用者にプロトタイプの内容を評価して貰います。可能であれば、プロトタイプをいくつか用意して様々な評価を貰うことが良いです。何をどのように改善すると利用者へ最大の価値を提供できるようになるかを検証していきます。

(1)から(5)のステップを俯瞰して眺めてみると意見(利用者からの情報)の発散と収束を繰り返していることが分かります。より多くの情報を集め、実際のアクションポイントに収束させていっていることがわかると思います。

デザインシンキングのプロセスを理解して、実行できるようになることが重要ではなく日常でもその考え方を元に様々な事象にデザインシンキングを適合させて応用していく習慣をつけることにより、VUCA時代を生きる力が身についていくと思います。

特に激動の時代でDXを推進しようとする場合、革新技術の方にばかり目が行きがちですが、利用者の真の要求の理解なくして、DXの成功はあり得ませんので、身に着けていて損はない考え方かと思います。

ここでは、あまりにも簡易な説明しかしていないので、デザインシンキングをよく理解できないかもしれませんが、興味ある方は是非、空き時間にでもネット上を検索するとか書籍を読むとかをして頂くと嬉しく思います。その際は、できれば、英文の資料を読まれることをお勧めいたします。日本での普及は欧米と比べるとまだまだですので、先行している情報に触れることがお勧めです。

DXは、革新的技術が中心ではなく、人中心のものです。なぜなら、便益を受けるのは人ですし、どんな価値を提供するべきかを決めるのも人だからです。

弊社もDX推進に向けて、皆様のご支援・ご指導のもと多くの取組を実施しております。
どうか今年も皆様からの変わらぬご指導・ご支援を賜れますようお願いいたします。

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